
株式会社ミラクルスリー
コーポレーション
代表取締役会長 粉川 憲史
|
|
―『増築&リノベーション』による再生手法についてお聞かせください。
まずご紹介したいのは、神戸市と明石市の両市にまたがる総開発面積約197ha、住宅戸数約11,000戸、居住人口約26,000人(2000年国勢調査)の『明石舞子(明舞)団地マンション』の再生案を募集するため、2005年3月に開かれた『明舞団地マンション再生アイデアコンペ』で当社の再生案が最優秀賞を受賞したことです。
1965年前後に兵庫県と兵庫県住宅供給公社が開発した明舞団地は、65歳以上の人口比率が22.2%(同国勢調査)と、同県平均(16.9%)よりも高く、県が“オールドニュータウン”の典型モデルとして取り上げ、2001年度から団地再生・活性化策に取り上げてきていたもので、コンペはその一環として『改造部門』と『建て替え部門』で実施されました。
学識経験者を含む4人の審査委員が1次審査をし、応募総数41作品から優秀7作品を選定、これに基づき提案者が個々にプレゼンテーションを行い、実際に明舞団地の住民らによる投票をした結果、当社は『改造部門』で最優秀賞を受賞、つまり、当社独自開発の特許技術『ミラクル構法』が、『増築&リノベーション』による再生手法として、最大級の評価をいただくことができたわけです。
―具体的には?
既存建物の周囲に鉄骨をめぐらせ、既存建物の上部に増築部分を創出することで、住民が住んだままの状態で増改築工事を進めることができる、ミラクル構法の最大の特徴が今回の受賞の大きな要因であることは言うまでもありませんが、具体的には、再生モデル街区の地上5階建ての団地13棟のうち、11棟をミラクル構法によって増床し、エレベーターを新設した6階建てに再生する提案のほか、残りの2棟は解体して住民同士の交流の場となる3階建てのコミュニティープラザを新設しました。
また、一部の新規床は住民が自由に使うことができる他目的ホールとする提案や、各棟の屋上を緑化し空中菜園として造成するといった、住民同士のコミュニティーの輪が最大限広がることを意識した再生案としたことが、『建物のリモデルだけにこだわらない、コミュニティーの再構築に向けた再生案』として、住民の皆様から好評を得ることができたわけです。今後、大阪府の千里ニュータウンなど、スラム化の危険のある街区の再生手法として一石を投じることができたと思います。
―団地再生の実例が見られる日も遠くはなさそうですね。ミラクル構法は住居以外の建造物にも対応できるのでしょうか?
もちろん可能です。実は2005年10月に、公共工事では初となる、大分県日田市の公立三隈中学校校舎の新増改築計画にミラクル構法が採用されました。建て替え計画の発端は、収容人数が少ない小さな体育館にあり、全校生徒を集めた行事が執り行なえないため、卒業式などは市民会館を利用している状況で、こうした現状は議会でも問題視されていました。そこで、ミラクル構法を知った市関係者からヒアリングを受け、ミラクル構法を応用した新工法「ローリングミラクル構法」による改築が決定、築40年が経ち、老朽化・狭あい化の進む校舎や体育館を同じ敷地内で建て替える計画がスタートしました。
―ローリングミラクル構法とは?
ミラクル構法では、既存建物を活用し、鉛直方向に増改築を行いますが、今回の案件では、既存施設の老朽化が著しいこともあり、最終的には既存建物は解体となり、建物自体は新設となりますが、増築と解体を繰り返すことで、仮設校舎を設置せずに建て替えが行えます。
仮設校舎を設置しないので、仮設のリース代など2〜3億円が不要となり、仮設校舎のスペースも不要なので、学校行事や部活動にも支障をきたしません。敷地を有効活用できるので、コスト縮減や工期短縮にもつながります。
工事ではまず、現存する校舎をつなぐ渡り廊下(3ヵ所)を現状のまま、またぐ形で新校舎を建設(渡り廊下の1ヵ所は解体撤去)。新校舎が完成した後、既築校舎の1つに在籍する生徒を新校舎に移らせて既存校舎を解体、新設する手順を2回繰り返す。複数の既存建築物の解体とミラクル構法による増築を繰り返す再生手法として「ローリングミラクル構法」として商品化しました。当然、このプロセスの中に耐震構造2.5〜4倍のWAWO構法を採用しております。
当社ではこの案件を契機として、都市再生機構などが所有する老朽化した公共賃貸団地の再生を中心に、国や財政がひっ迫する地方公共団体などの公共施設に対する提案を強化していく考えです。
|