
安全性と生活しやすさを考え、床、照明、建具、冷暖房などに工夫を加えましょう。
段差の解消
年をとると住宅の内外にある段差につまづきやすくなり、転倒事故が起こるようになります。屋内外の段差はスロープを取り付けます。室内の段差は、敷居にすりつけ(三角形のあて木)をつける、洋室の床面を上げるなどして解消できます。
手すりの取り付け
手すりには大きく分けて、伝い歩く、階段を上がる、乗り移る、という動作を補助する役割と、トイレや入浴中などの姿勢を安定させる役割があります。手すりは廊下、階段、浴室、トイレへの設置が最低限必要です。また、手すりが設置できるだけの十分な壁の補強も必要です
建具
開き戸は身体を移動させながらの開閉動作を必要とするため、高齢者には不向きです。また、扉に頭を打ちつけ、大きな事故につながる危険性もあります。開き戸は危険の少ない引き戸に替えることが望ましいといえます。
引き戸は手をかけやすい形状とし、吊り戸にするか、床埋め込みのレールにするか、段差をつくらない配慮をしましょう。
年をとると握力も低下するため、丸いドアノブはつかみづらく、使いづらくなります。ドアの握手は、使いやすいレバーハンドルに替えます。
照明設備
部屋の中に陰影をつくらないように、均一の明るさとなる照明の配置にします。室内では蛍光灯で全体を照らし、必要に応じて個別に手元を照らすようにします。廊下と階段には足元灯を付けておけば安心です。
照明器具のスイッチは夜でも見やすい発光式や蛍光式のものを付けます。誰でも使いやすいように取り付け位置は通常の10cm程度低目の方がよいでしょう。
冷暖房設備
年をとるにつれて、温度に対する感覚が衰え、とくに寒さへの対応が充分できなくなります。また、急激な温度変化は死亡事故につながる場合もあるので、部屋によって温度差が生じないように、居室だけでなく、トイレや浴室などにも暖房が必要になります。
また、高齢者は気温の変化に順応しにくいので、室内のどこでも均一で安定した温熱環境を実現することが必要です。(温度差は室内設定温度の±3度以内)そのため、安全で足元から天井まで部屋を均一に暖め、頭寒足温に近い状態をつくる床暖房は高齢者にとって一番望ましい暖房方式といわれています。
また、冷房については冷風が直接身体に当たらないように設置してあげましょう。また冷え過ぎにならないように、除湿だけ行えるようなドライ機能も欲しいものです。
車いすへの対応
車いすの幅は60cm程度で、通行には最低でも85cm以上、できれば廊下、ドア幅とも90cm以上、回転には150cm以上が必要です。また、車いすの車輪が沈んでしまうことがないよう、やや固めの材料、クッションフロアや木製の床材が適しています。
トイレ
トイレを和式から洋式に変える場合、電気・水道工事なしで洋式に変える方法もあります。新たに設置するには少し条件があります。
高齢者は筋力が弱ってくるので、洋式のトイレが適しています。現在の和式を洋式に変えるには、簡単にプラスチック製の便器をかぶせて置くこともできますが、きちんと工事をして洋便器に取り替え、グレードアップするのもよいでしょう。
洋式の便器は種類もさまざまで、洗浄機能付、暖房便座など、お年寄りが使われて便利なものがあります。便器の位置を変えなければ、比較的簡単に水道工事、電気工事をして和式から洋式に変えることができます。
高齢者はトイレが近くなるので、寝室の横にトイレがあるととても便利です。寝たきりになってもベッドの近くにトイレがあれば自立して生活できます。新築の時、寝室の横に設置するのは簡単ですが、後から改造するのは困難な場合もあります。後からでも、寝室の横に畳1枚以上のスペースがあり、近くに汚水管が通っていれば比較的簡単に実現できます。窓がとれなければ換気扇とオゾン脱臭器で対応できます。車椅子で便器に移乗するには、車椅子の座高と合わせた身障者用便器もあります。
給水・給湯設備
バルブ式水栓からレバー式水栓に替えると指だけでなく、手全体で操作することができるので、使い勝手が向上します。
給湯は目盛りを合わせるだけで好みの温度のお湯が出るサーモスタット式水栓か、湯温をリモコンで操作できる給湯器が便利です。急に熱いお湯が出てくる心配がありませんから安心してお湯を使えます。
浴室
高齢者にとって入浴は精神的にも肉体的にも大切な行為です。お湯の止め忘れや沸かしすぎは高齢者に限らずよく起こることですが、こうした事故を防いでくれる風呂機能はぜひ欲しいものです。自動風呂機能のついた給湯設備ならリモコンのボタンを押すだけで、お湯はりから、お湯はりのストップ、追炊き、保温まで、全自動。追炊き、お湯はりの止め忘れ機能がついているので、安心です。
- 段差をなくすこと
- 出入口幅を80cm以上にすること
- 手すりを付けること
- 滑りにくい床材にすること
- 非常通報装置を付けること
- お湯が適温に保てること
などが必要です。
簡単に改造できる部分と全面改装しなければ無理な所があります。簡単な工事で対応するにはまず、出入口の段差をなくすため、洗い場一面に段差と同じ厚さの木製のすのこ板を敷き詰めます。全面改装であれば、床、壁、浴槽など、すべてを撤去し、入口はグレーチング(排水溝に使う格子状のフタ)付きの引き戸で段差をなくします。浴槽のまたぎが高いと入りにくいので、シャワー椅子をおいて一旦腰掛けてから入るようにすると安全です。
全面改装であれば、浴槽またぎの高さが35〜40cmになるよう低めに据え付け、床タイルも50角を使用すると、目地が滑り止めになります。手すりは出入口、浴槽はいり口、浴槽反対側に下地があることを確かめてから付けてください。万一の場合に備え、防水型の非常ブザーも付けておくと安心です。
また、年をとってくると、温熱感覚が鈍ってくるので、沸かし過ぎの高温のお湯にうっかり入ってしまって大火傷になることもあります。その点、自動お湯はり機能が付いていると一定温度のお湯はりができて安全です。
入口は開閉の楽な引き戸にします。また、つまづいて転んだりしないように、浴室と脱衣室との段差をなくしましょう。こういった機能をすべて満たした高齢者用ユニットバスもあります。
湿気を含んだ汚れた空気がある程度は自然に換気されるように、窓の開口部の位置や向き、大きさなどを充分検討しましょう。
室内に閉じ込められた空気は汚れやすく、結露などさまざまな弊害をもたらします。空気をクリーンに保つためには、換気扇による機械換気も必要です。
除湿専用の除湿機もありますが、最近のエアコンは冷暖房のほかに、除湿・空気清浄・脱臭などの機能を持っています。除湿機能(ドライ機能)も、能力的にパワーアップしており、本格的な除湿や湿度コントロールのできるものが増えてきています。
家の中の湿気が発生しやすいのは、やはりキッチン・浴室・洗面室・トイレなどの水や熱をよく使う場所です。なるべく、ほかの部屋に湿気が広がる前に、すみやかに戸外に排出できる工夫をしたいものです。
いくら機械的に除湿しても、中に住む人が湿気を出しっぱなしにしていたのでは、効果がありません。極力、室内に湿気を出さないようにし、出した湿気はすみやかに戸外へ排出しましょう。
湿気を出さないための住まい方の工夫は、次のとおりです。
- 石油ストーブなどで湯を沸かさない。
- 室内に洗濯物を干さない。
- 乾燥機を屋内で使わない。屋内に置く場合は排気を外に排出するタイプにする。
- 雨の日は窓を開けない。
- 調理中は換気扇を回す。
- 入浴後は30分〜1時間、浴室換気をする。
- 窓ガラスにできた水滴はこまめにふく。
- 外壁に面して家具を置く場合は壁と家具の間に少しすきまをつくる。
- 外壁に面した押し入れには乾燥剤や除湿材を入れておく。
結露は湿気を多く含んだ暖かい空気が冷たい壁面や壁内部にふれた時に発生します。
断熱性の高い現代の住まいは結露でジメジメしていると、カビの温床となり、人体に悪影響を及ぼすばかりでなく、住まいの壁や天井にシミをつくったり、白アリの発生の原因となったりと、放っておくと住まいの寿命さえ縮めることにもなります。
住まいで発生する結露には二つのタイプがあります。一つは窓ガラスや壁の表面などにできる「表面結露」、もう一つは壁の内部にできる「内部結露」です。内部結露は室内の内装材料を透過した湿気が壁に冷やされてできます。
結露を防ぐには湿気を出さない住まい方のほかに、住戸内での大きな温度差や、戸外に接する部分での温度差をつくらないことが大切です。
表面結露を防ぐにはまず、壁や窓が外気によって冷やされないよう、壁の内部に断熱材を充分入れるほか、窓を2重ガラスなどにすることです。
内部結露を防ぐには湿度の高い室内空気が壁内部に入り込むのを防げばよいわけですから、アスファルト防湿紙などの防湿材を壁クロスの内側に入れたり、内装材そのものを防湿性の高い材料で仕上げることが求められます。
奥が外壁と、直接隣り合ってる部分の押し入れや、北側の押し入れに結露しやすいようです。結露は壁面と室内の空気の温度差により空気中の水分が飽和状態になった場合に生じます。したがって急激な温度差が生じないように、押し入れ内部と床の断熱性能をよくするため、断熱材を貼ります。
断熱材には、木質セメント板、発泡ガラス、高発泡ポリエチレン系、炭化発泡コルク、杉などの木材を使います。さらに、空気が常に流通できるように、押し入れ内部の周囲に5〜6cmのすき間を作った木製の枠を、床にすのこ板を置くと、結露防止に効果があります。補修は、湿度の低い晴れた日に、押し入れ内部の湿気を完全に除去してから行ってください。
カビは気温20度以上、湿度70%以上で栄養となるものが存在する時に発生するといわれています。いわゆる高温多湿状態がカビ発生の原因なので、対策としては、この三つの要素の一つを取り除くことを考えます。栄養物はごく微量でもあれば発生条件となり除去はむずかしいので、湿度を除去する対策を講じます。
新築間もないとのことですが、入居されるまでの期間が長かった場合、湿気がたまることもあります。家全体の通風状態、よく乾燥されてないままの下地を使った建材によるもの、床下換気が不充分など原因を調べて改善しますが、まず第一に、換気をこまめにし、カビ発生原因となる結露をさせないよう注意してください。
壁の材料には、水分の吸収、放出が自然にできる天然の木の板や、ノンホルム合板、珪藻土を使ったり、下地材にプラスターボードを貼った上に和紙や、麻、綿など安全性の高いクロス貼りにすると、化学物質を使った建材による室内汚染を防ぎ、日本の気候風土に合った家づくりの材料として好ましく、カビの発生も防げます。